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カルシウムを摂取しても骨は丈夫にならない。
肉体の中では、
Ca(カルシウム) × P(リン) = 一定
という自然法則がある。従ってリンを摂取しすぎるとカルシウムは肉体から追い出されてしまうことになる。カルシウムを摂ればそれで良いというのではなく、リンの摂取量が問題となってくる。 リンの摂取が多すぎると、腸管内で不溶性のリン酸カルシウムとなりカルシウムが利用されずに排泄されたりする。 P/Ca比で見ると、菓子、調味嗜好品1.5、果実類1.22、野菜類0.8、豆類3.16、いも類2.72、大麦小麦4.06、種実類2.13、米19.23、きのこ海藻類0.36、魚類3.89、貝類1.69、肉類20.13、卵類3.95、乳類0.9である。この比で1に近いほどいけない。 ここでカルシウムの排泄が問題となる。腸管からの正味カルシウム吸収率は摂取量と密接な関係にある(Witkinson)。カルシウム摂取が1日体重1キログラム当たり3ミリグラムの時、正味カルシウム吸収率はゼロ(それ以下ではマイナス、即ち腸管から分泌されたカルシウムが失われる)、1日8mg/kgの時に最高の 26.4%に達し、それ以下は軽減し1日40mg/kgの時、摂取量の20%になる。 これからみてもカルシウムを摂れば摂るほど骨が丈夫になるわけではない、ということが分かるだろう。 カルシウムは皮膚からも喪失してしまう。その量は30mg/dayといわれる。 従って、カルシウム摂取量を1日1.4mg/kgとして計算すると、 カルシウム排泄量 = カルシウム摂取量 × 26.4−30mg ということになる。
子どもの場合には、その成長から考えて別個に考慮されなければならない。3~6才の子どもでは、蛋白摂取量が2.0g/kg又は2.7g/kg2・7 グラムの時、腸管からのカルシウム吸収率は摂取量の54%、カルシウム蓄積量はそれぞれ平均43.5%、40%、尿中排泄量はそれぞれ平均10.9%、13.2%と報告されている。 これでみても蛋白質摂取に比例してカルシウム摂取が増加するが、蛋白質摂取量が多いと尿のほうにカルシウムが捨てられてしまうということが分かる。 一般的にはリンの排泄量4-30mg/kgの時、腸管からの正味リン吸収率は摂取量の60-65%であるといわれる。たとえ腎不全の状態であっても尿中リン排泄は摂取量の約60%とほぼ一定に保持されていることが認められている。従って皮膚からのリン喪失量を、 1日、65mgと仮定すれば、 尿中リン排泄量(mg) = リン摂取量 × (0.6-0.65) ということになる。
五島らによると子どもの場合には同じく、蛋白摂取量2.0または2.7gr/kgのとき、リン吸収率はそれぞれ平均71.4%、74.1%、体内蓄積率は27.5% 、9.7% 、 尿中排泄率は43.9%、64.4%であった。 分かりやすく言えば、カルシウムの吸収力は年齢によって異なるということだ。8〜10才の頃には約60%が吸収されるが、成人になると約30〜40%と吸収能率は低下する。さらに高齢者では20%程度しか吸収されない。
従って、高齢者は妊婦と同じように大量の(約100mg)カルシウムを摂取する必要があるのだ。ただし、いくら大量のカルシウムを摂取しようが運動しない限り、骨のカルシウムは減少し骨は弱くなる。 リンに関しては、1.3gr/day以下を目標摂取量とする。しかし、それほど意識する必要はなく、日常摂取するものからで十分確保できる。むしろ最近の保存食、清涼飲料水等々を多量に摂取するため、これらに添加されているポリリン酸やメタリン酸から過剰のリンを知らぬうちに摂取して骨を弱くしているほどだ。
現代人の骨の弱くなったのはこういう食事を摂るため、カルシウムを追い出す結果だと考えられているぐらいだ。従って、リンをいかに摂取するかということよりも、いかにリンを摂取しないようにするかを考えた方がよかろう。 リンはすべてに悪者というわけではない。リンの80%はカルシウムと結合してリン酸カルシウムとなって骨の主成分となっている。又、リンは健康な歯茎を作り、関節炎の痛みを和らげる働きもある。
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