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1、汗と臭い
 
 汗には、「アポクリン腺」からでる汗と、「エクリン腺」からでる汗の二種類がある。
アポクリン腺は、体毛の毛包部に開口する。腋の下、乳首、陰部にあり、思春期から壮年期後半まで活動する。一方、エクリン腺は、皮膚表面に直接開口部を持っており、一生にわたって働き、体温調節や皮膚の乾燥防止、腎機能の補助活動を行う。
どちらの汗も、主成分は水だが、エクリン腺から分泌されるのは尿に似ている。ただし、細菌に分解されると臭う。一方、アポクリン腺からの汗は、たんぱく質や脂質を含んでいる。

 30年程前、私は、エクアドルのガラパゴス諸島にあるダーウィンの研究所に行った。エクアドルというだけあって、赤道の直下である。東京の夏と比較にならないぐらいの高温多湿だ。突然雨が降り出すと、岸に停めたボートに雨水がたまり、あっという間に沈没してしまう。バケツで水をまいたようなという表現があるが、そんな軽いもんではない。傘も役に立たず、ベストな方法は、ヘヤーキャップをかぶることぐらいだ。サンタクルス島を出発し、ガラパゴス諸島を旅した。各島々には、イグアナをはじめとして、様々な動物が生息している。夜半に船が動き出し次の目的の島に向かう。朝食をすませると、上陸用の30人ぐらい乗れるゴムボートで島に向かう。島の中では、取っていいのは写真だけ、残していいのは足跡だけ、というぐらい自然保護に努めている。あれだけ暑さだから脱水になる。脱水にならないように水を持ってゆきたいのだがそれも禁止。シャツも短パンもびしょ濡れになる。80何歳のツーソンから来たというおバーちゃんが、真っ赤な水着で現れたのにはびっくりしたが、これがあの地では、ベストなウエァーだろう。
どうせびしょびしょに汗をかくので、次の日も同じティシャツででかけた。日本で、昨日着たティシャツを着たら汗臭くて着ていられない。が、ガラパゴスでは、毎日同じティシャツを着ても臭くならないのだ。結局、10日間同じティシャツで過ごした。
何故、臭わなかったのか?
皮脂が出っきってしまい、山の川のせせらぎみたいなきれいな汗しか出ないのだ。初日は、皮脂が出てたはずだが、ティシャツについてたはずの皮脂も汗と一緒に洗い流され、酸化されることなく臭くならなかったのだ。お相撲さんが稽古であれだけ汗をかくと、竹べらで汗を落とせるようになるの同じだ。だから相撲取りの皮膚はきれいなのである。

 何故、汗が臭いのか。汗自身は、元来、無臭である。が、汗の持ってる成分が、細菌によって分解されると不快な「分解臭」となる。もう一つが、汗と一緒に出てきた皮脂が、汗の成分である鉄イオンによって酸化される「酸化臭」だ。
皮脂汗には、細菌の餌となる皮脂が多く含まれているからだ。

 魚を、日向においておくと、魚の持っている健康によいといわれるオイルが、空気に触れて酸化したうえに、さらに紫外線で酸化され、ダブルパンチとなり、干物のあの嫌な臭いがでてくるのとお同じである。


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