【ワクチン接種前後】スパイクタンパク抗体(中和抗体)検査|自費・唾液・渡航|港区の人間ドック・健康診断・内科なら三田国際ビルクリニック (赤羽橋・芝公園・三田・田町・麻布十番から徒歩圏内

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【ワクチン接種前後】スパイクタンパク抗体(中和抗体)検査

Coronavirus Spike Protein IgG Antibody Test

新型コロナウイルスのワクチン接種が始まり、すでに2回目の接種を終えられた方もいらっしゃるかと思います。日本で最初に採用されたファイザー社/ビオンテック社製のmRNAワクチン「コミナティ筋注」(開発コード:BNT162b2)は大規模臨床試験の結果、95%の高い発症予防効果が報告されていますが、自分自身がきちんと抗体を獲得できているか気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。mRNAワクチンは、ウイルスの表面に存在し感染の成立に重要な役割を果たすスパイクタンパク質(S)に対する抗体を誘導することで、COVID-19の発症予防効果を発揮します。その一方で、今まで行われてきた「抗体検査」は主にウイルスの遺伝情報を収納しているヌクレオカプシド(N)というタンパクに対する抗体であり、既感染の判定には有用であるものの、ワクチン接種後の抗体獲得の判定には不適でした。スパイクタンパク質(S)に対する抗体は、新型コロナウイルスへの既感染およびワクチン接種後の抗体獲得を示す良い指標であり、ウイルスとヒト細胞との結合を阻害する中和抗体としての活性を有すると考えられています。三田国際ビルクリニックでは今まで既感染を正確に判定するヌクレオカプシド(N)に対する抗体検査Elecsys Anti-SARS-CoV-2(ロシュ社)を実施していましたが、新たにスパイクタンパク質(S)に対する定量的なIgG抗体検査ARCHITECT SARS-CoV-2 IgG II Quant(Abbott社)の実施を始めましたのでご案内いたします(2021年5月25日)。

抗体検査の違いについて

予約・お問合せ

対象検査を希望される全ての方
検査日時診療時間内(平日は15:00-17:00、土曜は11:00-12:00が空いております)
予約不要(外来web予約を利用いただくと、優先案内で待ち時間が減少します)
検査方法採血(1-2ml程度)
所要時間5-15分程度
検査費用7,000円(税別)
所用日数検査後2日
結果報告来院での説明or郵送(1,000円(税別))

予約・お問合せ

症状があり現在の感染が疑われる方は指定医療機関をご受診ください。
抗体検査は「過去の感染」「免疫獲得」を確認するための検査です。「現在」の感染の有無を調べるには、PCR検査が適しています。

  • 過去に新型コロナに感染したかどうか不明で、ワクチンを接種すべきかどうか迷っている方。 ※過去に新型コロナにかかっていても、WHO等ではワクチン接種が推奨されています。
  • ワクチン接種後に副反応がなく、本当にワクチンが効いているのか心配な方。
  • 1回目のワクチンで副反応が強く、2回目が打てるか心配。もう抗体がついているのか確認したい方。
    ※ワクチンは2回の接種が推奨されています。
  • ワクチン接種前や接種後に自分の抗体価を確認したい方。

 

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)では、IgG抗体は発症後約10日で上昇し、発症後14日目以降の陽性率は100%と報告されています。従って、
  • 過去感染が気になる人 → 症状が出てから14日後以降の検査
  • ワクチン接種後 → 2回目の接種を終えて1週間後以降 or 調べたいタイミングで検査
をお勧めします。

ファイザー社/ビオンテック社製のmRNAワクチン「コミナティ筋注」の接種を終えた方について、最近の日本人を対象とした実験では、2回目の接種を終えて1週間後に十分量の抗体が産生されている報告されており、2回目の接種後1週間以降であれば正確な評価が可能と考えられます。ただし、ワクチン接種前、1回目の接種後、2回目の接種を終えて長期のタイミングなど個々人の関心に合わせて繰り返しの検査も可能です。

ARCHITECT SARS-CoV-2 IgG II Quant(Abbott社)は、欧州での使用を可能とするCEマーク、米国ではFDAの緊急使用許可(FDA-EUA)を得ており、感度99.35%、特異度99.6%と報告されています。したがって、数あるスパイクタンパク抗体検査の中でも、過去感染やワクチン接種後の抗体価を確認する上で、特に信頼できる検査であると考えられます。
スパイクタンパク抗体検査については、ロシュ、ベックマン・コールター、シーメンス、富士レビオなど各社の測定系が発表されていますが、現状Abott社の測定系が世界トップのシェアを獲得しており、優れた定量性を示している状況です。

ウィルス量を50% まで減少させることを確認する培養細胞での試験(プラーク減少中和試験(PRNT))で、1:250 希釈のPRNT ID50(代表的な高力価の指標)を使用した確率プロファイルの例では95%信頼区間で4,160 AU/mL報告されています。

プラーク減少中和試験(PRNT)高力価

また、FDAが緊急使用許可(FDA-EUA)を出したCOVID-19の回復期患者血漿製剤(convalescent plasma)では、製剤の精製基準が840 AU/mL以上と定められております。

回復期血漿療法での基準

このことからも必ずしも4,160 AU/mLに抗体価が満たないからといって中和活性が認められないというわけではないと考えられます。
しかしながら、ヒトの体内でどれだけの抗体価があれば、発症や重症化予防に十分であるかは明らかになっていません。

最近の欧米の研究では、ファイザー社/ビオンテック社製のワクチン接種後の抗体価について、1回目の接種後の中央値 2,217 AU/mL, 2回目の接種後の中央値 6,396 AU/mL報告されています。

ワクチン接種後の抗体価(欧米のデータ)

また、2021年5月に長崎大学より発表された日本人を対象とした研究では、ファイザー社/ビオンテック社製のワクチン接種後の抗体価について、1 回接種後14 日の中央値は約1,000AU/mL2 回接種後7 日の中央値は約22,000AU/mL報告されています。

ワクチン接種後の抗体価(日本人データ)

従って、2回目の接種を終えて1週間後に十分量の抗体が産生されている可能性が高いと考えられ、ワクチンの最終的な効果判定を行いたい方は2回目接種の1週間後以降が適しているのではないかと考えられます。

最終的にワクチンの効果がどの程度持続するのかはまだわかっていません。最近のハンガリーでの研究では、ファイザー社/ビオンテック社製ワクチンについて、2回目の接種後1週間でピークとなり、以後は中和抗体が減少する可能性が報告されています。

2回目の接種後1週間をピークに中和抗体は減少

同様に国立国際医療研究センターからも、2回目接種後7日の時点が最も高く、30日の時点では平均42%減少する可能性報告されています。
今後、ワクチン接種後どこまで抗体価が下がった場合、追加接種の必要性があるかについての報告が期待されます。
ご自身の中和抗体がいつまで保持されているか気になる方は定期的な検査をお勧めします。
中和抗体が高ければ絶対に感染しないことを保証するものではありませんが、感染予防を心がける上で有用な指標と考えられます。

Elecsys Anti-SARS-CoV-2(ロシュ社)は新型コロナの過去の自然感染を確認するために精度が高く優れた検査です。その一方で、ARCHITECT SARS-CoV-2 IgG II Quant(Abbott社)は過去の自然感染とともにワクチン接種後の抗体価も確認することができます。ワクチン接種の有無や目的に応じて、以下を参考に選択してください。詳しく調べたい方は、同時に両方の検査をお受けいただくことも可能です。

どの抗体検査を受ければいいのか

予約・お問合せ

団体での検査をご希望される事業所様は企業・健保組合様専用のフォームよりお問い合わせください。海外渡航前健診との同時受診やトラベルワクチンの接種、請求書払いなど個別のご要望に柔軟に対応させていただきます。

中和抗体検査団体予約
Q. スパイクタンパク抗体(中和抗体)検査の結果の見方を教えてください。
A. IgG定量値が50AU/mL未満→判定(-):抗体検査は【陰性】、IgG定量値が50AU/mL以上→判定(+):抗体検査は【陽性】となります。
Q. スパイクタンパク抗体(中和抗体)が陽性だったのですが、どうしたらいいでしょうか?
A. 過去の新型コロナウイルスの自然感染またはワクチン接種により抗体を獲得している状態と考えられます。 引き続き感染予防に注意して生活してください。
Q. スパイクタンパク抗体(中和抗体)が陰性だったのですが、どうしたらいいでしょうか?
A. ワクチン未接種であれば、過去に新型コロナウイルスにかかっていない、あるいはかかっていても十分に抗体が産生されなかったと考えられます。ワクチン接種後であれば、通常接種後1ヶ月以上経っていれば陽性になると考えられますが、何らかの理由で抗体が十分に産生されなかった可能性があります。
Q. 抗体が陽性で免疫を獲得していれば、もう新型コロナにはかからないのでしょうか?
A. 一般に抗体が陽性で免疫を獲得している状態では、再感染や重症化のリスクは低いと考えられます。しかしながら、新型コロナウイルスの経過についてはまだ明らかでない部分も多く、一度感染した方が再度感染する可能性も報告されています。完全に安心することはできませんので、引き続き感染予防に努めてください。
Q. モデルナ社やその他の会社のワクチンでもスパイクタンパク抗体(中和抗体)は上昇しますか?
A. ARCHITECT SARS-CoV-2 IgG II Quant(Abbott社)は、モデルナ社のmRNAワクチン「mRNA-1273」の接種後の中和抗体も検出が可能と報告されています。したがって、職域接種などで使用されているモデルナ社のワクチン接種後の方も検査の意義があると考えられます。また、日本では現在運用されていないアストラゼネカ(英国)、シノバック(中国)、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)製のワクチン接種後の中和抗体産生もARCHITECT SARS-CoV-2 IgG II Quant(Abbott社)で測定可能と考えられます。

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